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地方競馬で最大規模を誇る大井競馬場を徹底解説

地方競馬で最大規模を誇るのが南関東競馬です。
首都圏で開催されることから売上も多く、レース賞金も高額となっています。

その南関東競馬を代表するのが東京シティ競馬といわれる大井競馬場です。

地方競馬のことをよく知らない人のためにも、大井競馬の特徴をここで解説していきます。

大井競馬場とは

中央競馬の東京競馬場が郊外の府中市にある一方で、大井競馬場は品川区に位置し、まさに都心で開催されています。
1950年に始まり、2020年に70周年を迎えることになります。

主にトゥインクルレースというナイター競馬を実施し、仕事帰りの会社員が気軽に立ち寄れるだけでなく、清潔感がある施設でグルメも楽しめる空間から女性にも人気のスポットです。

中央競馬から競馬を始めた人は多いでしょうが、大井競馬場から中央競馬に移籍した内田博幸騎手や戸崎圭太騎手は、南関東を代表する一流騎手として活躍していました。

さらに、大井競馬場所属では、的場文男騎手が2018年に7152勝で地方競馬単独最多勝記録を更新しています。

伝説的な競走馬では1970年代のアイドルホースであるハイセイコー、平成三強としてオグリキャップやスーパークリークと激闘を繰り広げたイナリワンがいます。
また、1996年にデビュー前ながら音に驚いてきゅう舎から逃げ出し、首都高を走って一時期話題を独占したスーパーオトメも大井競馬所属です。

大井競馬所属で活躍した主な競走馬

代表馬戦績(中央や海外含む)備考
ゴールデンウェーブ(1951年産)37戦16勝初の地方出身で日本ダービーを制覇。
ダイゴホマレ(1955年産)24戦14勝2頭目となる地方出身で日本ダービー制覇を達成。
オンスロート(1957年産)41戦26勝地方出身ながら中央へ移籍して天皇賞春と有馬記念を制し年度代表馬に。
ヒカルタカイ(1964年産)31戦15勝南関東競馬初の三冠馬となり、中央へ移籍後は天皇賞春と宝塚記念を圧勝して年度代表馬へ。
ハイセイコー(1970年産)22戦13勝中央移籍後に空前の競馬ブームを作ったアイドルホース。皐月賞や宝塚記念を勝ち、人気だけでなく実力も超一流。
ハツシバオー(1975年産)17戦11勝南関東競馬で3頭目となる三冠馬。同年の東京大賞典も制して四冠達成。
イナリワン(1984年産)25戦12勝東京大賞典勝利後、中央へ移籍してG1を3勝。平成の三強といわれ、第二次競馬ブームにも貢献した。
オリオンザサンクス(1996年産)24戦11勝門別から移籍し、南関東競馬の二冠を達成。第1回ジャパンダートダービーでは中央の強豪を撃破して三冠を制する。

例外として1992年産のアブクマポーロがいます。
アブクマポーロは大井所属でしたが、平凡な記録に終わり、長期休暇を経て船橋競馬場に移籍して才能が開花。

当時のライバルといえるメイセイオペラと激闘を繰り広げ、中央の強豪勢を蹴散らした名馬です。

大井競馬場の特徴

引用元:大井競馬場コース分析1600m | 南関東4競馬場の情報サイト 南だ関だでダートな気分

大井競馬場では右回りのダートコースを採用し、1週距離が1,600mの外回りと1,400mの内回りという2通りのコースを実施しています。

最後の直線では外回りコースで386mと地方競馬では最長距離を誇ります。
大井競馬場では地方競馬での三冠レースを擁立し、東京ダービーは1着賞金が4,000万円を超えるほどで、中央競馬の重賞に匹敵する高額レースといえるでしょう。

大井競馬の特徴として最も挙げられるのは、独創的な試みを展開していることです。

まだジャパンカップも開催されていない時期(1978年)に海外から女性騎手を初めて招待し、日本初のナイターレースを採用するなど、独自の取り組みで競馬ファンを沸かせています。

また、大井競馬場では世界初の試みとなる、同一競馬場での右回りと左回りの同時採用を決定し、早くて2021年中に実施しているとしています。
このように従来の考えに縛られない柔軟な発想が大井競馬場にはみられます。

日程やレースガイド

大井競馬場では基本的に平日開催となっていますが、連休や年末など年間でも数日土日にレースが開催されていることもあります。
約100日に近い日数ですから1,000レースは開催されていることになります。

3月後半から4月にかけてトゥインクルレースが開催され、冬季や年末は昼間の開催となっています。

大井競馬場では交流重賞を含めて26もの重賞レースが組み込まれています(2019年)。
地方限定でみると、やはり東京ダービーが最も大きいレースといえるでしょう。

交流重賞を加えると、賞金面でも高額になる帝王賞や東京大賞典では中央のダート一流馬が揃うこともあって、注目度は全国的に高まります。

大井競馬場の重賞レース

大井競馬場で組み込まれている重賞レースを紹介していきます。

中央競馬との交流競走であるJpn1・Jpn2・Jp3はそれぞれG1・G2・G3とし、南関東競馬独特の重賞であるS1・S2・S3と分けます。

持ち回り制で開催されているJBCシリーズは除きます。

G1(Jpn1を含む)レース

6月下旬帝王賞2000m上半期のダート界最高峰レース。
春の総決算として中央の名馬たちも出走してくる。
7月上旬ジャパンダートダービー2000m南関東三冠クラシックに位置し、中央競馬の強豪も参戦。毎年ハイレベルな一戦となる。
12月末東京大賞典2000m年末の大一番。毎年有馬記念よりも後に開催されるので一年最後のG1レースとして人気が高い。

G2(Jpn2を含む)レース

9月末~10月頭東京盃1200mJBCスプリントの前哨戦ともいえる一戦で、スプリント路線のスピード自慢が集まる。
2019年には藤田菜七子騎手が女性初のダートグレード競走制覇。
9月末~10月頭レディスプレリュード1800mJBCレディスクラシックの前哨戦となる一戦。3歳勢にとって古馬との初顔合わせになるケースが目立つ。

G3(Jpn3を含む)レース

1月下旬 TCK女王盃1800m中央勢にとっても数少ない牝馬限定の重賞レースとあって、注目度は高い。
4月上旬東京スプリント1200m1200mの重賞がほとんどない中央競馬のダート馬たちにとって貴重なレースとなっている。

S1レース

4月下旬東京プリンセス賞1800m南関東牝馬クラシックの二冠目となるレース。
中央競馬のオークスに値する。
4月下旬羽田盃1800m南関東クラシックの第一関門。
中央競馬の皐月賞に値する。
5月下旬 大井記念2000m帝王賞へ向けてのステップレースで毎年好メンバーが揃う。
6月第1週東京ダービー2000m地方競馬最大級のビッグレース。
勝ち馬は中央競馬のレースでも好走する馬が多いほどで、毎年激戦となる。
9月中旬東京記念2400m1964年の東京オリンピックを記念して開催された伝統の一戦。
11月上旬ハイセイコー記念1600m2020年よりS1に格上げされた2歳重賞。
12月末 東京2歳優駿牝馬 1600m 大みそかに行われる年末最後の重賞で、地方最強の2歳牝馬を決めるレース。

S2レース

2月頭金盃2600m国内の長距離ダートコースとしてパワーやタフさが求められる。
3月中旬京浜盃1700m羽田盃への前哨戦となる。
中央競馬では弥生賞に値する。
6月下旬優駿スプリント1200m地方のみで開催されるスプリント戦なので強豪が集まりやすい。
8月中旬黒潮盃1800m全国の地方交流競走として毎年レベルが高い。
10月中旬マイルグランプリ1600m南部杯をパスして中央から移籍してきた馬が活躍するレベルの高いマイル戦。
12月上旬勝島王冠1800m南関東の重賞総決算となる一戦。ここをステップに東京大賞典に向かう馬も。

S3レース

2月頭雲取賞1800m羽田盃や京浜盃へのステップレースとして定着。
3月頭フジノウェーブ記念1400m1200mや1600mで活躍している馬たちが一同に集まる。
4月上旬ブリリアントカップ1800m前年のクラシックで活躍した馬と歴戦の古馬勢が集う。
7月末サンタアニタトロフィー1600m伝統あるハンデ重賞。条件戦を勝ちあがってきた馬の台頭が楽しみ。
8月末アフター5スター賞1200m夏の風物詩で8月最後の重賞になりやすい。
12月末東京シンデレラマイル1600m最強牝馬マイラーを決定する一戦としてまだ歴史の浅い重賞。

コースの特徴

大井競馬場で試行回数の多いコースの特徴を見ていきます。

1200m外回り

大井競馬場で多く採用されているコースです。
スタートは2コーナーを過ぎた辺り。

コーナーが2つしかなく、最初の3コーナーまでの距離も500m近くあるので外枠の馬が不利とはなりません。
先行馬が有利ともいえますが、最後の長い直線で差し馬が台頭するケースも見られます。

1400m外回り

スタート地点は2コーナーポケットからとなり、最初の直線までは200mほどコースを斜めに走ります。

外枠ほど不利になりやすいですが、2コーナーから3コーナーまでは500m近くあるので、ここまでにポジションを上げていけるかがカギになります。
最後の直線も長いので1200mが得意なスプリンターのスピードだけではスタミナ切れとなる可能性があります。

1600m内回り

スタートは内回りの4コーナー出口付近となり、そのまま4つのコーナーを回っていきます。

内回りなので最後の直線は300m程度となり、後方勢よりも4コーナーまでにどれだけ先頭集団に付けていけるかがポイントとなります。

1800m外回り

多くのメーンレースが組み込まれている伝統的なコースです。
スタートはスタンド前内回りコースの4コーナー付近にあり、最初のコーナーまでは300mあることからゆったりとした展開がみられます。

枠順による不利もなく、先行馬を差す後方勢の活躍も多くみられるのが特徴といえます。

スピード一辺倒で押し切るのは難しいコースといえるでしょう。

2000m外回り

東京ダービーや東京大賞典、帝王賞などのビッグレースが行われるのに対し、意外にも試行レースが少ないのがこのコースです。

スタートは外回りコースの4コーナー出口付近で、最初の直線は500mあるので枠順による不利はあまりありません。

ゆったりとした位置取りができるものの、重賞では3コーナーから4コーナーにかけて一気にペースが上り、スタミナがないと厳しいコースといえます。

大勢の仲間や女性も楽しめる大井競馬場の魅力

地方競馬といえば赤ペンを耳に挟んだオジサンたちが集う昭和のイメージをしがちですが、大井競馬場は洗練された空間で中央競馬よりもオシャレでデートスポットにも最適です。

指定席のスタイルも豊富で、特に競馬観戦型レストランのダイアモンドターンではブッフェ食べ放題、ソフトドリンク飲み放題と飲食を自由に満喫しながらゆったりとしたシートで競馬を楽しめます。

予約必須ですが、1名から2名、3名、4名シート、5名・6名の専用シートやそれ以上の大人数用ロイヤルボックスや10名以上のパーティールームといった大勢の仲間で楽しめるようになっています。

まとめ

地方競馬で最大規模を誇る大井競馬場では、都心で開催される強みを存分に活かした運営がなされています。

大井競馬場からはハイセイコーやイナリワンといった名馬や、内田博幸騎手や戸崎圭太騎手といった名手まで中央競馬に引けをとらない超一流の馬や騎手が育っているところでもあります。

女性も入りやすい環境を整え、両回りコースの実現など日本だけでなく世界中の競馬関係者やファンから注目される存在になりつつあるでしょう。