ダートが主流の地方競馬では中央競馬と違ったパドックの見方が参考になります。
一般的な競馬ファンにはパドックを参考にすることはあまりないといえます。
パドックを見て直観で閃くこともあるでしょうが、どのような体型の馬が好走しやすいのか、ダートに適しているのかという点までは分かりづらいのです。
そこで馬券攻略の参考になるような地方競馬でのパドックの見方を解説していきます。
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ダートが多い地方競馬は力が必要となる
地方競馬は盛岡競馬場を除き、年中ダート競走を実施しています。
芝コースの維持・管理にかなりのコストをかけなければなりませんから致し方ないといえます。
一般論で考えると、スピードの出やすい芝コースはフットワークの軽い馬が得意で、力の要るダートコースにはパワフルな馬が得意となります。
もちろん、芝コースだからといって軽い馬場が似合そうな馬だけが好走することはありません。
ゴール前の坂や距離など各競馬場の特徴や馬場状態によっても大きく異なります。
ダートコースも競馬場のコース形態や馬場状態によってある程度違いがありますが、基本的には芝よりもダートのほうが力を要する機会が多いものです。
そのため、ダート競馬が多い地方競馬では、筋肉のハリがあるがっちりとした体形の馬が好まれます。
パドックで見るポイントとして挙げられるのは「毛ヅヤ」「馬体(馬体重の増減)」「歩様」「トモのハリ」「気合・入れ込み・発汗」が主になります。
それぞれ違いを見ていきましょう。
毛ヅヤ
パドックの解説でよく見られるのが「毛ヅヤがピカピカ」という表現です。
この毛ヅヤというのは競走馬の皮膚の状態を指しています。言ってみれば健康状態が見てとれるのが毛ヅヤということになります。
競走馬も人間と同じように健康状態の良し悪しがあり、人も体調が優れないと顔色が悪いようなことがあります。
馬も体調が悪いと毛が立ってしまい、ツヤがありません。
一方で栄養状態が申し分なく運動も適度に行っていると内臓の疾患もないので体調が良くなり毛がツヤツヤにみえていきます。
また、毛ヅヤは普段の手入れによっても影響を受けます。
入念にブラッシングを受けている馬たちは、ストレスも少なくて心身ともにリフレッシュしています。
すると皮膚の状態も問題ないので、光沢のでるツヤになりやすくなります。
このようにパドックで毛ヅヤがいいというのは、馬の健康状態が良いことと考えていいでしょう。
これは地方競馬や中央競馬に関わらず、毛ヅヤは最初に見るポイントといえます。
馬体(馬体重の増減)
競走馬は1日で大きく馬体重が増減してしまいます。
地方競馬でも遠征があり、健康な馬でも一日に10㎏以上馬体重が変化したりします。
たとえば地方競馬でも人気の高い南関東競馬では、大井(東京)・川崎(神奈川)・船橋(千葉)・浦和(埼玉)と1都3県にまたがっているので、近郊とはいえども繊細なサラブレッドたちには十分な長旅です。
この馬体重は地方競馬だと1キロ単位で計測されており(中央は2キロ単位)、数キロ程度だと心配はほとんどないといえますが、中には10キロ以上も増減する場合があります。
これはあくまでも馬体と合せてみないと参考にはなりません。
3歳の若駒たちは春から夏を通り越して一気に成長しますし、休み明けの馬は少し馬体重をプラス目にしておいてたたき台にするという陣営の思惑もあります。
また、中央から地方に移籍してきた馬はパワーを付けるために馬体を大きくしていきますので+20~30キロは珍しくありません。
そこでパドックではプラス体重の馬は腹回りをチェックします。
引き締まった体型をしている馬は筋肉も付いてパワーがみなぎっていることになりますが、お腹がでっぽりとたるんでいる場合には追い切りで絞りきれていない可能性が高いので注意が必要です。
逆に痩せ細って骨が浮いて見えるような馬はガレているので元気がないことが多く、スタミナが持たなくて力尽きる可能性が高まります。
歩様
歩様は馬の歩き方のことを指します。
特にパドックでは後脚の踏み込み具合を意味し、しっかりと力強く踏み込みができている馬は気合も乗って脚も違和感がなく良い感じになります。
逆に歩様が乱れる馬はどこかに違和感を覚えているケースもあります。
人も股関節やひざ、足首などに違和感が生じる場合には少し歩き方が乱れるはずです。歩様が乱れている馬は割引が必要と考えていいでしょう。
ただし、歩様はその馬独特の歩き方というケースもあります。
馬もそれぞれ癖があるので全ての馬が同じ歩様になるとは限りません。
その見分けかたとして、普段からパドックを見続けてその馬の歩様をチェックしていくことが大切です。
トモのハリ
トモとは後肢のことを指し、地方競馬のようなダート競馬で力が必要な場合、トモの筋肉ががっしりとしてハリがある馬体が好走しています。
力強く蹴り出すパワーはダート競馬において非常に重要ですから、トモの骨格や長さというのはパドックでもしっかりとチェックしなければなりません。
トモは臀部や尻にかけての部分も指すことが多いので、後肢全体で筋肉が十二分に付いており、大きい骨格の馬ほどダートでは好まれるでしょう。
軽い芝が合いそうな細い馬は馬格で劣り、激しい当たりのレースでは消耗してしまいがちです。
気合・入れ込み・発汗
パドック解説では「気合が乗っている」という表現がでる場合があります。
競走馬も新馬は別として、ルーティンをこなしている内にレース前の飼葉や運動、追い切りを消化して、きゅう舎の雰囲気などからレースの日が近いことを察しています。
客席前を周回するパドックでは、「そろそろレースだ」と馬自身が感じ取っているでしょう。
闘争心が溢れだしてきて踏み込みが力強くなり、頭を低くし歩様に合せて首でリズムを取るようになっていきます。
このような馬は気合も乗ってレースに集中していることがうかがえます。
しかし、客席の前を取って興奮する馬もいれば、レースが嫌で帰りたいと暴れる馬もいます。
このような時には頭を上げて手綱を引っ張るような仕草をし、後肢が飛び跳ねるような行動をみせてきます。
これは入れ込みが激しい馬に多いですが、パドックで入れ込み過ぎる馬はレースに集中できないことが多いので割引となってしまいます。
入れ込み過ぎると興奮しますので馬も汗をかいてしまいます。
発汗といいますが、夏の暑い時期にもあるように、パドックでは馬体にしたたり落ちるような汗が流れでてしまうことがあります。
暑さだけなら問題ないですが、入れ込み過ぎた馬の場合は発汗にも注意が必要です。
興奮して余計なエネルギーを消耗していますから、いってみればわがままを言って泣き疲れた幼児のようなイメージともいえます。
ゲートに入らないこともありますし、出遅れの危険もあります。
最悪な場合は折り合いが付かずに騎手とケンカしてかかってしまい、直線で失速するパターンです。
パドックでは騎手が騎乗してから落ち着く馬もいる
パドックで興奮している馬でも、騎手が騎乗してから落ち着くこともあります。
現地に行っていると、その馬だけを目で追えるので分かりやすいでしょう。
馬が戦闘モードに入っている証拠ともいえます。
2020年の新型コロナウイルスの影響で無観客競馬が常態化しており、ネットで馬券を購入する機会が多いものですが、地方競馬ではオッズパーク・楽天・SPAT4などのサイトでライブ中継をしており、パドックを延々中継しているので、騎手が騎乗するところまでしっかりと注目していけます。
これが中央競馬になると周回のコースを1回だけ映すようなことがほとんどですので、何週も映してくれる地方競馬のほうがパドックは分かりやすいといえます。
まとめ
地方競馬では中央競馬と違い、パワーのいる大型馬が好まれます。そんな地方競馬でパドックの見方のポイントとしては、下記を重点的にチェックしていくことをおすすめします。
- 毛ヅヤがピカピカかどうか(健康状態のチェック)
- 馬体のハリと馬体重のチェック
- 歩様に乱れがないか
- トモのハリがしっかりとしているか(筋肉ががっちりとついているか)
- 気合が乗っているか、入れ込んで発汗していないか
これらは一般のパドックの見方になりますが、中には歩様が少し乱れているのがいつものことだという馬やパドックでは毎回入れ込むがレース直前には落ち着いている馬。
いつもと同じという馬もいますので、馬券攻略のカギとして普段からパドックを見るようにして前回との違いをしっかりと把握するようにしていきましょう。